ZAZEN BOYSを中心とした向井秀徳作品に関するコメントやライヴレポなどを書いております。
YURETA YURETA YURETA
 この曲は、かなりファンキーですよね。聡さんのカッティングもリズム隊もファンキーです。(ライヴだと、もっとファンク色が濃かった気がしましたけど…)しかし、ただのファンキーで終わらんとこがZAZEN BOYSですよね。
 短いブレイクから変調して入る「6本の狂ったハガネの振動 揺れる脳細胞」部分に来ると祭囃子ファンクみたくなるじゃないですか。その使い分けがたまりません。曲の構成にも脱帽です。
 曲そのもののことじゃないですが、Viewsicの特番でやってたレコーディング風景で、この曲の録ったテイク聴きながらメンバー自身が「カッコいい〜すげ〜」って言ってたのが素敵でした。真剣に、かつ楽しんで、自分ら自身がまずはガ〜っと上がっていける曲を作ってるんだな〜って感じが伝わってきて、感動しました。
The Days Of NEKOMACHI
 この曲はやや不気味なギターフレーズで始まりますね。そして、聞き覚えのあるドラムフレーズ(『NUM HEAVYMETALLIC』と手数がほぼ一緒でテンポがスロー)に続いて、ナムヘビツアーで演奏された「…坊さん屁をコイた…」のベースラインがカブってくる。そして風の音のようなエフェクトノイズ…。
 ここまでの部分で、なんか記憶と妄想の錯綜する「猫町の日々」に俺らは連れ去られていく感じがします。聞き覚えはあるが、別の物っていうか…。
 向井さんの描く世界には猫がよく登場しますね。しかも町を浮浪してます。初期の『ウェイ?』でも既に「猫会議の風景」を見てるし、『狂って候』の猫町にも「狂い屋」が潜入してきます。この曲の猫街は吉原県にあるそうですが、とにかく記憶と妄想のハザマにある街みたいです。そんなネコマチに「さあ行け」って指令が出たら行くっきゃないすよね。その呪文指令の後ろでバカスカ鳴ってる楽器の群れが、まさに「春猫音頭」って感じで好きです。
 向井さんは、だいぶ後で萩原朔太郎の小説『猫町』の存在を知り、読んで「非常に僕が描いていたものと近かった」(トーキンロックNo.37)って言ってます。オレも初めて知ったんで図書館で借りて読みました。なかなか不思議な短編で、それ読んでからまたこの曲聴くといいかもです。(文庫サイズの「ちくま日本文学全集」ってシリーズに入ってました)
 
USODARAKE
 これまた凄い曲です。まあ、全部凄いんだから「凄い」ってコメント書くなよって感じですけど…やっぱこの曲をZAZEN BOYS知らない人に紹介するなら「凄い曲あるから聴いてよ」って言っちゃうなあ。「凄い」っていう言葉がすっげ似合う曲だと思うんですよ。
 まず、曲の入り方がハンパじゃなくカッキ〜♪このイントロって超ドス効いてますよね。「来いよコノヤロ」って感じです。そして、だんだん加速していくリズム。ナンパなヒップホッパーなんかには太刀打ち出来ん向井さんの呪文の迫力。ありえないほどカッコいいです。
 向井さん自身、雑誌のインタビューで「自分のはラップじゃなく早口言葉です」みたいなコメントをしてましたが、オレもラップなんていう既成のジャンルに入れたくない、もっと凄い独特のものだと思います。だから仮に呪文って書きます。
 怖いぐらいに突き刺さってくる歌詞と、緊張感に溢れ息も付かせぬ演奏のセメギ合い。最初のPVにこれ選んだだけあって、とにかく気合に満ち溢れてますよね。
 すべてカッコいいですけど、あえてオレの今一番気に入っている部分は、「動脈にダイレクト注入」って呪文をカットしたかと思ったら(このブレイク感が超イイ)、速攻転調してホンの少しメロディに乗った呪文「見抜けんUSOがまかり通る街並に俺は立っていた」から「両目をがっつり開いとけ」に至る辺りです。
Fender Telecaster
(≫≫まだまだ曲ごとにコメントするには、アルバムの聴きが足らんとは思いますが、我慢できなくなったので書かせてもらいました。)
 
 ついに発表されたアルバムは、この曲で始まります。たしかリキッドでの初ワンマンライヴも、この曲から始まりましたよね。それって重要な気がしました。
 この曲を最初にライヴで聞いたときも、改めてアルバムで聴いてみても、ZAZEN BOYSスタートに向けたメンバーの強い意思みたいなものを感じるんです。
 力強く4回繰り返される5音のイントロの迫力と緊張感。「凄いことが始まる感」たっぷりですが、続く部分は一転して静の部分ですよね。絡み合うギター(たぶん向井さんのストロークに聡さんのリード)のフレーズもビートを刻むベースもドラムもジャジーで、入ってくるヴォーカルはファルセットです。「ただ迫力だけじゃないぞ」っていう意思みたいなものを感じます。そしてブルース色の濃いギターソロからインプロジャズ的なドラミングと続いたかと思うと、いきなり念仏的に「1フレットから24フレットへ この広大な思索の荒野を練り歩く」とつぶやいて曲を終わってしまう(カッコ良過ぎ〜)。
 この曲って、ある意味メチャクチャな構成ですけど、そこにZAZEN BOYSが一定のカテゴリーには留まらず、また留まるつもりもなく、「おれらがやりたいことをガッツリやるだけ」みたいな意思を感じるんです。
 「広大な思索の荒野を練り歩く4人の戦士のテーマ」みたいな曲って感じしました。
“ZAZEN BOYS/ZAZEN BOYS” #2
 今これを書くまで最低10回は聴いたはずですが、まったく厭きません。いや、厭きないのはたぶん当然ですけど、聴けば聴くほど発見があって楽しくてたまりませんよ〜♪
 マジで「スルメアルバム」ですよね☆
 まだ、聴くたびに「すっげ〜」って興奮状態なんで、もう少し繰り返して聴いてから曲ごとの感想を書きたいと思ってます。
 今はとにかく、ライヴと違う部分を発見してはキャ〜キャ〜、ライヴを思い出してはキャ〜キャ〜、演奏の細かい部分に気付いてはキャ〜キャ〜(大声は出してませんけど…)って感じです。 
 こんな凄いアルバムが、このバンドにとってまだ「ほんのスタートライン」なんですから、もうオレの中毒症状も進行するっちゅうの!(っていうか一生治りませんけど…。)  

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Last Updated: 2024/11/2 Sat.

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