ZAZEN BOYSを中心とした向井秀徳作品に関するコメントやライヴレポなどを書いております。
Live Report #4 :宇都宮(040124)
2004.1.24 宇都宮Vogue
 
 ついに始まったZAZEN BOYS初ライヴ・ツアー“TOUR MATSURI SESSION”。1月10日の高知を皮切りにスタートしたツアーの7発目・宇都宮に行って来ました。
 このライヴハウスは初めてでしたが、駅からも近く、会場自体は地下なんですが、道路に面した地上部分にコインロッカー&物販スペースがあり、なかなか便利なハコでした。
 開演前は、超満って気がしませんでしたが、恒例のマーキームーンが流れ出すとウォ〜って感じのオシが来て、一気に場内はヒートアップしました。
 登場した向井さんは、いきなりモニターの上に乗っかっり手を差し上げて俺らを挑発しました。こんな向井さんを見たのは初めてでした。ツアー開始から、ほぼ中1日のペースであったライヴでしたが、6発目の神戸からこの日までは4日間空いたわけで、その間に充電したパワーを発散しているみたいに感じました。アヒト君のサラサラヘアーは健在でしたが、ひなっちは髪が短くなってました。カシオマン聡さんは、前は気付かなかったんですけど右腕にタトゥーをしてました。
 オープニングは『Fender Telecaster』。今までのライヴに比べて最初の4フレーズがじっくり演奏され、よりインプロ度(即興性)が高まった感じでした。続いて『SI・GE・KI』『The Days Of NEKOMACHI』『USODARAKE』とノンストップでブチ込んで来ます。アルバム発売後のため、俺ら客のノリもリキッドとかよりいいじゃないですか、でもメンバーのテンションは、それを上回ってる感じでした。
 前半の締め『開戦前夜』が、メッチャ良かったです。この曲のジャジーなインプロ要素が大好きだったんですが、この日のライヴでは、その魅力が更にアップ。3人のソロは最高で、特にこの日のドラムソロはシビレました。(オレは、3列目やや左寄りだったんで、叩いてるアヒト君の表情がバッチリ見えて良かったです)
 MC後、アルバム未収録の『TANUKI』。この曲は、初めて聴きましたが、「狐と狸の化かし合い」とか「タヌキがポンポコポンポコ」とかの歌詞も良かったです。(向井さんの日記によると、この曲は去年の10月28日に録音されてるので、シングルに入るかもですね☆)続いて『六階の少女』。これもイイ曲、大好き。ぜひこれもCD化して欲しいです。(日記によると10月17日に録音されてるし…)
 その後が、この日唯一のナンバガ曲『性的少女』。これも、ちょっとアレンジが違うとこがまたいいんですよ。記憶が正しければその後が『COLD SUMMER』。これはライヴで聴くとた・ま・らん。
 そして、ライヴで聴くのは初めての『WHISKY&UNUBORE』。CDで聴けば聴くほど名曲だな〜って思ってたこの曲ですけど、ライヴがこんなに似合う曲とは思わなかったです。最高!「五合瓶〜」とかは、もちろん会場全員で歌いました。
 ラス前『KIMOCHI』では、リキッドみたく「野に咲く〜花のように〜」のリフがあり、向井さんがステージからしばらく消えたかと思ったら、男女一人ずつの客を連れてステージに戻り、2人にも歌わせての大合唱でした。相変わらずカッコいい『自問自答』で、本編は終了。再び現れた4人。そして、向井さんから嬉しいお知らせがありました。
 「レコーディングはしたが、アルバムには入りきれなかった曲がある。それはアルバムの流れと違っていたからだけなので、シングルCDという形で3月頃に出します」みたいなことを語ってくれ、「視聴してみてください」と『半透明少女関係』を披露してくれました。ビートの効いたアップテンポの曲ながら、重層構造にもなっていてカッコいい曲でした。(Viewsic特番のレコーディング風景で、向井さんと聡さんが「ジャ〜ジャッジャジャ〜。ジャ〜ジャッジャジャ〜。ジャ〜ジャッジャ、ジャ〜ジャッジャ、ジャ〜ジャッジャジャ〜」ってやってたの、この曲だったんですね〜)
 MCでは、自分らのことを「ズィーボーイ」と略して連呼していたのが笑えました。
 終演後、地上の物販スペースで、熱を冷ましてると、ふらりと向井さんが現れ「CDを買ってくれた人に、サイン致します」なんて言うんだもん。たまらずもう1枚買っちゃいましたよ。向井さんは、とっても機嫌よく「お名前は?」って聞いてジャケットにサインしてくれました。ライヴも含めて最高の夜でした♪
自問自答
 「冷・凍・都市・から」のカウントで始まるこの曲で、1stアルバムは幕を閉じます。今のところオレの知ってる範囲の情報では、ライヴでもこの曲が本編のラストナンバーみたいなので、そう考えると現段階のZAZEN BOYSを象徴する曲だと言えるかもしれませんね。
 曲の構成は、そんなに複雑じゃないですけど、その分語られるコトバは一番多いですよね。ライヴでも、向井さんは珍しくハンドマイクで呪文を唱え続け、ほとんどギターの弦に手を触れません。その分、ヴォーカリストとして、あるいはバンドのフロントマンとしての主張が熱く伝わってきます。
 呪文(向井念仏?)をフィーチャーした曲だけに、言葉のひとつひとつが心にグサグサ刺さって来ます。とくに「日曜日の真っ昼間…」以降は、刺さり過ぎて痛いぐらいです。
 CDでもライヴでも、凄い緊張感と意気込みで全力投球してるなあって感じますけど、そのシメとして「自問自答」を繰り返すZAZEN BOYSって、やっぱりハンパじゃないって思います。
 
WHISKY & UNUBORE
 アルバム発表前に行われたイベント(ロフトーク→詳しくは、「Live Report #3」に書いてあります)で、この曲の音源を初めて聞かせてもらいました。(13曲の中からこの曲を選んだのは、もしかしてリキッドでの初ワンマンで演奏しなかったからかな…)
 その時は、とにかく笑える曲だって感想が強かったんですが、CDでちゃんと聴いてみると、もちろん笑えるんですが、それだけじゃなくて、とってもいい曲だなって思いました。
 オレの勘違いでなければ、この曲ってキーボード入ってるみたい。いろんな音が混じってファニーな空気を醸し出しています。「五合ビン〜」とか「ワンカップ〜」とかのコーラス(?)が入るのも笑えますけど、「酔狂を悪いとは思わん…」からの呪文部分の導入部からの演奏が鳥肌立つほどカッコいいと思います。
 先日放送されたViewsicの「ZAZEN BOYS SPECIAL」で、向井さんの支持に従って3人がマイクに向かって並び「酔っ払い〜」とかの録りをしている映像がありましたけど、何度見ても笑えます。
 
KIMOCHI
 バラエティに富んだこのアルバムの中でも、とりわけ異色なのがこの曲だと感じます。もちろんいい意味でですよ。
 作曲家としての向井さんは、いわゆるバラード調の曲を今までほとんど公表していないと思います。この曲だって、必ずしもバラードとは言えませんが、しいて言えばそんな空気がありますよね。こういう曲は、今回のアルバムだけじゃなくNUMBER GIRL時代の曲にも極めて少ないと思うんです。
 以前、向井さんは『delayed brain』についての自己解説(「Quick Japan 42号」)で、「とりすましたブラコン・グループのドラマーが実はキチガイで、しっとり感をぶち壊すように叩きまくるってことにして…」出来上がったって語ってますけど、『KIMOCHI』にもその発想に通じるものがあるような気がしました。ヴォーカルはファルセットも使ってブラコン・バラードっぽい部分が多いですが、絡んでくる楽器軍の音は狂気じみてますよね。
 ライヴでは、後半の「貴様に伝えたい 俺のこのキモチを」の部分で、「野に咲く花のように 美しくなりたい」と歌詞を換えてメンバーが一人ずつ歌ってくれましたけど、そういう意味でも異色だと思います。
   
SI・GE・KI
 このアルバムが出る前に、一番早く我々が耳にした曲は、たぶんこの曲ですよね。もちろんヴァージョンは違いますけど…。
 NUMBER GIRL解散後、向井さんがMATSURI STUDIOで録音して、個人として最初に発表した音源は、「Quick Japan 50号」の付録CD『SI・GE・KI』のはずですよね。
 その付録ヴァージョンについて向井さんは「いろいろといじっているうちに、こういう気色の悪いリズムになった」と語っていますが、たしかにこのヴァージョンはメロディラインはほぼ一緒ですが、かぶせて入れてあるシンセやエレピの音が不気味です。
 その後、ZAZEN BOYSとしての初ライヴだったライジングサンフェス(見には行けませんでしたけど…)でも、既にこの曲をやってますが、今度はベースビートの効いた曲に変身していました。そして、このアルバムでは「桃色、青に変わる瞬間…」まではメロディラインに乗らないヴァージョンですよね。
 一つの曲のいろんな料理法を楽しめる意味でも、美味しい曲だって思います。
 

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Last Updated: 2024/6/14 Fri.

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