2009.5.24 郡山 CLUB #9
俺にとって記念日となった参加100本目のライヴから約1週間後、新たなスタートとなる101本目に選んだ土地は郡山。以前も一度ツアーで訪れた土地ですが、今回のハコは前回とは別で、メンバーにとっても初めてのライヴハウス。
駅前のアーケード商店街に引っ越したばかりらしいんですが、廻りにはラーメン屋さんやコンビニなどが並んでいて、まさに「商店街」。そんな雰囲気もよかったし、会場に入るとステージ幅の狭いコンパクトな好みのハコで、ワクワク。―――その時には、この先に滅多にないハプニングが起ころうとは予想も付きませんでした。
1. SUGAR MAN
2. Honnoji
3. Weekend
4. HIMITSU GIRL'S TOP SECRET
5. DARUMA
6. TANUKI
7. MABOROSHI IN MY BLOOD(途中まで)
8. 安眠棒(口楽器Ver.)
9. KIMOCHI
10. COLD BEAT
11. RIFF MAN
以上のセットリストを御覧になって、「あれ?ワンマンなのに曲少なくない?」と思った方が多いでしょう。そうなんです。これは、思いも寄らないハプニングのせいなんです。
ライヴは、ドラムスのフレーズなどにも変化がありアレンジが更にタイトになって超カッコよ過ぎる『SUGAR MAN』からスタート。これ、まぢヤバで、鳥肌もんでした☆☆。続く『Honnoji』もメッチャ良かったし、次の『Weekend』から『DARUMA』までも久々に訪れた郡山シティに届ける熱い気持ちがビシバシ伝わって来るハンパない演奏で、俺は興奮しまくっておりました!
ところが、向井さんが「ダルマの次はタヌキ」と短く告げて『TANUKI』に入ってしばらくして、事件は起こりました。演奏の途中で、急に照明が暗くなりアンプやフロアスピーカーからの音が消えたんです。びっくりするメンバー。あわてるスタッフ。そして、電気系統の確認が行なわれた後、演奏が再開されます。この段階では、ちょっとした接触ミスぐらいだと思ったし、フロアもちょっとだけ待たされた分、逆に盛り上がってました。だから、いいテンションで『TANUKI』が終り、次の『MABOROSHI〜』もフロアの熱気はどんどん上昇していくのがわかりました。
ところがところが、その途中で再び電気系統がダウン。しかも今度は、「一瞬電気が流れたかと思ったらすぐ落ちる」を繰り返し、なかなか復旧しません。どうやら漏電の可能性があるらしいんです。
向井さんは、「落語でもやれたら場を繋げるんですがね…」などフロアを気遣いつつ接触などを調べたり、いろいろトライするも復旧せず。「10年以上やってて、一度照明が点かなくなって暗い中でライヴをしたことはありますが、音響系統がダメになったのは初めてですね」みたいなコメントをしつつ、さらにスタッフ共に調べるも復旧せず。何度も「ほんとすいません。申し訳ない」とフロアを気遣って謝る向井さんに、感動しつつも気の毒になっちゃいました。
そのうち、スタッフが調査やリトライを続ける中、「じゃあ、ちょっと口でやってみましょうか」みたく言って、4人が丸く集まってマイクなしでそれぞれの楽器フレーズを口で言うという形式で『安眠棒』をやってくれたんです。その涙ぐましいサービス精神に対し、フロアも手拍子やコーラスレスポンスで精一杯応え、まさに一体となって盛り上がったんです。そして、曲が終わった後には、大きな拍手が今まで聞いたこともないぐらい長く長く長く長く続きました!
この感動的な場面にも、神様は電気系統を戻しては下さらぬ御様子。仕方なくメンバーは一旦バックヤードに去って、向井さんの指示で一郎君だけが登場します。
そして、一郎氏は点検などで時間が掛かっていることを謝った上で、自分がバイト体験などから得た〈魚マメ知識〉を話し出しました。「アマダイっていう魚、知ってますか?」みたいな話から「キンメダイも実は鯛じゃない」みたいな話、さらには「カラスミ」の話まで語ってくれました。俺は、そんな一生懸命に場を繋ごうとする誠実な姿に感動し、照明の落ちた中せめてフロアに彼の表情を伝えたいと、持っていたペンライトで顔を照らしながら〈イチロートーク〉を聞いていました。
やがてメンバーが再登場。向井さんは、漏電らしく当分復旧のメドが立たないことを告げ、ハコのPAシステムを使わずに、メンバーのアンプの分だけ一般の電源から引いてやれる限り演奏すると知らせます。
もちろんフロアからは大きな拍手。そして、エレクトリックサウンドとして成立する最小限の電力を最大限に活かして渾身の3曲を俺らにブチ込んでくれた後、これ以上は一般電源の限界ということで、ライヴは終了。
演奏後、何度も「ほんと済みませんでした。また必ず来ます」を繰り返し去っていったメンバー。そして、出て来た観客には、最後の一人までお店のスタッフやプロモーターの方やマネージャーの森さんなどから謝りの言葉が絶えることはありませんでした。(なお、郡山では振替再公演をするそうで、この日のチケットで入れるそうです。)
予想外の大きなトラブルに見舞われて予定の半分ぐらいしか演奏できなかったライヴは、初めてライヴを見に来た人や遠方から来た人にとって残念だったと思います。メンバーにとっても悔しかったろうと思います。でも俺は、トラブルに直面しても本当に誠実に対処してくれたメンバーに感動したし、〈口演奏〉や、〈イチロートーク〉や、PAシステムなしで演奏した最後の3曲など多くの貴重な体験が出来たので、感謝の気持ちでいっぱいでした。
そして、この夜集まった郡山シティの皆さんも本当に素晴らしかったです!メンバーとフロアが一体となって作った『安眠棒』&その後鳴り止まなかった拍手は、一生忘れないと思います。メンバーの皆さん、スタッフの皆さん、郡山の皆さん、本当にお疲れ様でした!そして本当にありがとうございました!
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