ZAZEN BOYSを中心とした向井秀徳作品に関するコメントやライヴレポなどを書いております。
Live Report #105 :宇都宮(090624)
2009.6.24 HEAVEN’S ROCK Utsunomiya
 
 この日の宇都宮に行くことは先行予約の時点から決めていたんですが、前日に振替公演が急遽決まったので、個人的には窮地に追い込まれました。ただでさえ貧乏なのに、どうやって移動したらいいのか?―――とにかく1円でも安くしなければなりません。郡山から一旦戻って翌日宇都宮に行くと往復運賃が無駄になります。かと言って郡山でネットカフェなど利用して一泊する余裕もありません。そこで、苦肉の策として考えたのが、「バスで郡山入りし、夜は郡山で野宿。翌朝各駅停車で宇都宮に移動し、ライヴ後は私鉄を乗り継いで帰る」というプラン。これだとギリギリなんとかなりそう。
 そんなわけで、前日は郡山駅のベンチや連絡通路で仮眠し、大雨とかに見舞われなかった幸運をライヴの神様に感謝して久しぶりの宇都宮にやって参りました!
 
 1. Idiot Funk
 2. Honnoji
 3. Weekend
 4. HIMITSU GIRL'S TOP SECRET
 5. DARUMA
 6. TANUKI
 7. MABOROSHI IN MY BLOOD
 8. IKASAMA LOVE
 9. 安眠棒
 10. You make me feel so bad
 11. Memories
 12. Asobi
 13. KIMOCHI
 14. COLD BEAT
 15. FRIDAY NIGHT
 16. RIFF MAN
 EN1. I Don’t Wanna Be With You
 EN2. Sabaku
 
 ライヴは、前日同様『Idiot Funk』からスタート。キレの良いサウンドが身体を包み、貧乏旅行の疲れも吹っ飛びました(^o^)。
 そして始まったライヴは、久々に『Memories』も聞けたし、演奏に関して新たな発見もあったし、感動もいっぱいあったけど、あえて今回は書きません。とにかく良かった!おしまい。
 …って、これじゃあんまりだから、特に印象に残った点を箇条書きしてみます。それって、なにげに初めてかも。
 
 @松下敦氏のドラムミングの自由度が増し、細かい〈替えの手〉が楽しめた。
A一郎君の掛け声が曲のメリハリに与える影響の強さを痛感した。
Bカシオマンのギターにおける即興性の凄さと魅力に圧倒された。
C向井さんのバンマスぶりに磨きが掛かって、その姿に惚れ惚れした。
 
 なんじゃこりゃ。たしかに書いたとおりなんだけど、学校の課題みたいで全然ライヴ感が伝わって来ないじゃん。すみませんでした!(笑)
 てか、とにかく楽しかったんだけど、改めて思ったのが「ZAZEN BOYSのライヴには、全体を通じてのドラマがある」ってことです。1曲1曲にもドラマはあるけど、その日のセットリストにもストーリーが隠されているって言うのかな…。
 そして、この日は向井さん自身もドラマの〈種明かし〉を少々。『You make me feel so bad』の後、「どっちが悪いわけじゃないけど、分かれてしまう。そんなことってありますよね。え〜、ありませんか?」みたく問いかけ、フロアにいた一人に向かって「ありますよね」と呼び掛け「そんな曲ですね」と締めてから、今度は「分かれてしまったけんだけど、まだどっかひきずってて、ケータイのメモリーを消せないでいて、夜中、酔った勢いで電話しようとしたりするわけです」みたいな話をし、思い出つながりで『Memories』に。その後、「そうやって分かれて、なんかもうどうでもよくなって、自暴自棄みたいになって、行きずりの人と…」みたいな話から『Asobi』という展開となり、前日に劣らぬ魅力満載の超ロングヴァージョンで一旦締めくくり。
 最終盤は、『FRIDAY NIGHT』に続いて『RIFF MAN』まで演奏するという超特急ロケット噴射状態で急上昇して本編終了。再登場後、「時間的に1曲だろうな…」という予想を見事裏切って、たっぷり2曲続けて演奏してくれました!前日見せてくれた〈ツナギ〉での指揮者ぶりにも磨きが掛かり、トータルで2時間を越えた充実の宴は幕を閉じました。―――ほんとお疲れ様でした〜!
 
Live Report #104 :郡山(振替)(090623)
2009.6.23 郡山 FREEWAY JAM
 
 電気系統のトラブルで先日の公演が中止となった郡山で振替公演が決定し、さんざん悩んだ末に参加することにしました。予想外のトラブル自体レアな体験でしたが、そのリベンジに立ち会うなんて滅多にないことだし、前回参加した者が一人でも多く参加することが、メンバーにとっても「あの日」を完結させることだと思い決心しました。
 
 1. Idiot Funk
 2. Honnoji
 3. Weekend
 4. HIMITSU GIRL'S TOP SECRET
 5. MABOROSHI IN MY BLOOD
 6. IKASAMA LOVE
 7. TANUKI
 8. DARUMA
 9. 安眠棒
 10. You make me feel so bad
 11. Asobi
 12. I Don’t Wanna Be With You
 13. Sabaku
 14. KIMOCHI
 15. COLD BEAT
 16. FRIDAY NIGHT
 EN. RIFF MAN
 
 登場した向井さんは、「またやって参りました」とか「何度も来ましてすみません」など、再び集まった人々に対して何度もお詫びとお礼の言葉を述べました。よくステージを見ると、いつもは向井さん用に準備されている缶ビールがありません。そして、最後までビールを口にすることはありませんでした。もしかして前回の〈厄払い〉のために時限的な〈酒断ち〉をしたんじゃないかと俺は思いましたが、そうじゃないとしても、この日のライヴはハンパない〈リベンジスピリッツ〉に溢れたものでした。
 
 前回のセットリストを大幅に変更したことにも、トラブル除けの〈祈り〉みたいなものを感じましたが、そんな向井さんの〈祈り〉はメンバーにも伝わっていて、打ち込み部分の多い1曲目の『Idiot Funk』から、既にかなりのキレを見せてくれました。こんなにも鬼気迫る『Idiot Funk』は、そうはないんじゃないかな…。
 前回中断となってしまった『MABOROSHI IN MY BLOOD』では、中盤ブレイクして4人がアドリブで廻す部分で、ごく短いフレーズで繋いでましたが、その息と表情がとても良かったので、嬉しくなっちゃいました(^o^)。
 前半をトラブルなく折り返したことで、少し気が楽になったのか、この後向井さんは久々に饒舌なユーモリストぶりを発揮します。「今日の東京は、蒸し暑かったですね。私、もしかして扇風機しか使わないみたいなイメージがあるかもしれませんが、クーラー〈ガンがけ〉です。もうクーラー〈ガンがけ〉して、布団かぶって寝る、みたいな…」って感じのトークで笑いを誘って、「そんな蒸し暑い夜は、安眠棒でお休みください」と『安眠棒』に突入。
 前回〈口楽器ヴァージョン〉でやった『安眠棒』は、タイトなリズムと独特のスキャットや「バシッ、バシッ」と言いつつ手拍子を求めるパフォーマンスも含め、めっちゃカッコよかったです☆これぞリベンジ!
 続く『You make me feel so bad』では、既に『Weekend』で最高にブッ飛んだ狂い弾きを見せてくれたカシオマンが、「ZAZEN BOYS版ブルースを聴け!」と言わんばかりの〈泣きのギター〉をたっぷり見せてくれました♪
 ここまでが「昼」だとすれば、『Asobi』から『Sabaku』までは「夜」でしょう。その幕開けとなる『Asobi』は、前回果たせなかった「夜」の世界を、奔放に遊びながらもしっかり着地するリズム隊に妖しく絡むギターとシンセによってたっぷりと表現―――。そんな超長尺の凄い演奏でした☆☆
 さらに感動的だったのが『I Don’t Wanna〜』から『Sabaku』へのツナギ部分。後ろ向きになった向井さんが、両手を挙げて指示して音量を少しづつフェイドアウトさせ、吉兼さんのサンプラーを小さく残しつつシンセのキースイッチを入れて『Sabaku』のイントロに繋ぎ、バスドラとベースを加えていく様子は、ロックバンドのバンマスというよりクラシックの指揮者みたいで本当に素敵でした!そして、打ち込みとナマ音が絶妙に絡んだ中に響く向井さんの歌声は、振替公演に参加出来なかった人達も含めた全員に贈られた鎮魂歌のようで、久しぶりに涙が出ちゃいました(-_-;)
 そんな素晴らしい夜の世界は、再び『KIMOCHI』で新しい朝を迎えます。十二分に感謝の気持ちが篭った『KIMOCHI』を経て、続く『COLD BEAT』も『FRIDAY NIGHT』も、再訪の喜びとフロア全員の脳裏にライヴを焼き付けたいという気合が物凄く感じられる演奏で最高でした!
 途切れることなく鳴り止まない拍手。そして、改めて「公演中止による振替公演っていうのは、初めてです」と告げ「お集まりいただいて、本当にありがとうございました!」との言葉に続いて演奏された『RIFF MAN』で、フロアもメンバーも、まさに意識の天空に「昇り」切ってライヴは終了。
 
 終演後、出て来たメンバーは、みんなとってもニコニコしてました。そして、俺も含めて残っていた数人の見送りに、何度も何度も手を振って去って行きました。そんな嬉しそうなメンバー達を見て、改めて「来て良かった〜!」って思いました。ほんとマジで良かった〜☆☆☆―――最高の夜に乾杯っ♪
Live Report #103 :水戸(090621)
2009.6.21 水戸 LIGHT HOUSE
 
 毎年ありそうで、実は久しぶりな北関東ツアーが、今年は前半で組まれました!その皮切りが水戸。あいにく小雨がパラつき蒸し暑い天候でしたが、大好きなハコでのライヴは、2階席も開放した状態の中、とっても美味しかったです(^o^)
 
 1. SUGAR MAN
 2. Honnoji
 3. Weekend
 4. HIMITSU GIRL'S TOP SECRET
 5. DARUMA
 6. TANUKI
 7. MABOROSHI IN MY BLOOD
 8. IKASAMA LOVE
 9. 安眠棒
 10. You make me feel so bad
 11. I Don’t Wanna Be With You
 12. Sabaku
 13. Asobi
 14. KIMOCHI
 15. COLD BEAT
 16. FRIDAY NIGHT
 EN. RIFF MAN
 
 柵はあるけど、すぐステージっていうのが、このハコの特徴。だから最前に立つと、もうメンバーは目の前。そんな状態でカマされた『SUGAR MAN』は、すんごくカッコ良かった!特に中盤から少しずつアレンジに変化を加えてあり、身体を音に引き裂かれるような感覚で最高☆
 演奏の凄さはもちろんだけど、最前エリアでは、メンバーの細かい動きや表情が見れるのが大きな魅力なんすよね〜。『Honnoji』でシンバルを叩いてる時の一郎君や、『Weekend』でキーボードを弾きながら振り向く向井さんに呼応するかのように最後に身体をひねるカシオマンなど、楽しみ満載でございま〜す(^o^)。
 見るたびに加速しているみたいな『DARUMA』の後、「ダルマのケツに張り付いた狸」みたいな一言で『TANUKI』を演奏し、その熱気を引き継いで『MABOROSHI〜』→『IKASAMA〜』という流れは圧巻です。
 タイトなアレンジになった『安眠棒』では、導入部や中盤に向井さん流の〈スキャット〉がいっぱい登場して、さらに魅力が増しました☆☆
 この日の『I Don’t Wanna〜』は、アルバムのようにキーボードフレーズから入って「砂漠の朝を〜」で始まる展開。そして吉兼氏のサンプラーからノンストップでつながれた『Sabaku』は、しっとりしつつビートが波打つ演奏で、異次元を彷徨わせてもらいました。
 たっぷり『Asobi』を味わった後も、まだまだ肉厚のディナーが続き、久々に最後を『FRIDAY NIGHT』で締めるという展開もGood!すんごく楽しい気分で本編終了♪
 アンコールに応えて『RIFF MAN』が始まると、比較的大人だったフロアからもついに〈押し〉が(笑)。痛かったけど、汗まみれで踊って終わるライヴってキモチいいっすよね!うん、お金ないから往復各駅停車だったけど、じっくり余韻を楽しみながら帰って参りました(^o^)
Live Report #102 :QUATTRO(090618)
2009.6.18 渋谷 CLUB QUATTRO
 
 東京ではちょい久しぶりのライヴは、“第4回東京うたの日コンサート”というイベントへの参加でした。ソロでは過去に出演しているイベントですが、ZAZEN BOYSとしては初。対バンも大人な顔ぶれで、期待に胸は高鳴ります。
 まずは、フロア後方から元気なマーチングの行進でBLACK BOTTOM BRASS BANDが登場。ブラスならではの楽しさと、年齢から来るベテランの味を満喫。続いて、こだま和文 from DUB STATION(W/DJ YABBY)。こだまさん見るのめっちゃ久々だったけど、相変わらず渋い大人の魅力たっぷり。持ち時間が短くて残念だったけど、それでも存在感は目に焼き付きました。
 そして、セットチェンジの後、すぐパッと明るくなってZAZEN BOYSの登場であります。
 
 1. KIMOCHI
 2. COLD BEAT
 3. Honnoji
 4. HIMITSU GIRL'S TOP SECRET
 5. MABOROSHI IN MY BLOOD
 6. IKASAMA LOVE
 7. DARUMA
 8. I Don’t Wanna Be With You
 9. Asobi
 
 比較的年齢層が高そうで静かにどよめく感じのフロアに届けられた1発目は、『KIMOCHI』。じわじわうながり上がっていく空気感がたまりません。間髪いれず『COLD BEAT』そして『Honnoji』。このスリリングな展開は、何度経験してもゾクゾクしちゃいますね♪
 一息置いて『HIMITSU GIRL'S〜』。その後、「この日はアダルト対バン(笑)だからやらないかな…」っていう俺の予想を裏切って『MABOROSHI〜』&『IKASAMA〜』へ。「おおっ」って思ったけど、うん、良かったんすよ、これが!ライヴハウスってハコによって音の「鳴り」が違いますよね。もちろん聞く場所によっても変わるわけだけど、この日最前エリアでの「鳴り」は金属的でジャリジャリしていたので、それがこの2曲には効果抜群。「刺さる〜っ!」って感じ。わかるかな?
 冒頭のオトボケを控え目で『DARUMA』をハイテンションヌで突き刺してくださり、ノーマルVer.の『I Don’t Wanna〜』で踊った後『Asobi』へ。中盤のシンセ中心の〈引っ張り〉が長くて、「指揮者向井」と呼応する「楽団」3人を見てるだけでも楽しめます。この日は、1回音量を限りなく小さくしてから再び上がっていくパターンを採用。楽しかった〜(^o^)
 イベントの性格上、予想通りアンコールはなかったけど、対バンも含め「うたの日だったな〜」って感じられる音楽好きにはタマラン一夜でした☆
Live Report #101 :郡山(090524)
2009.5.24 郡山 CLUB #9
 
 俺にとって記念日となった参加100本目のライヴから約1週間後、新たなスタートとなる101本目に選んだ土地は郡山。以前も一度ツアーで訪れた土地ですが、今回のハコは前回とは別で、メンバーにとっても初めてのライヴハウス。
 駅前のアーケード商店街に引っ越したばかりらしいんですが、廻りにはラーメン屋さんやコンビニなどが並んでいて、まさに「商店街」。そんな雰囲気もよかったし、会場に入るとステージ幅の狭いコンパクトな好みのハコで、ワクワク。―――その時には、この先に滅多にないハプニングが起ころうとは予想も付きませんでした。
 
 1. SUGAR MAN
 2. Honnoji
 3. Weekend
 4. HIMITSU GIRL'S TOP SECRET
 5. DARUMA
 6. TANUKI
 7. MABOROSHI IN MY BLOOD(途中まで)
 8. 安眠棒(口楽器Ver.)
 9. KIMOCHI
 10. COLD BEAT
 11. RIFF MAN
 
 以上のセットリストを御覧になって、「あれ?ワンマンなのに曲少なくない?」と思った方が多いでしょう。そうなんです。これは、思いも寄らないハプニングのせいなんです。
 ライヴは、ドラムスのフレーズなどにも変化がありアレンジが更にタイトになって超カッコよ過ぎる『SUGAR MAN』からスタート。これ、まぢヤバで、鳥肌もんでした☆☆。続く『Honnoji』もメッチャ良かったし、次の『Weekend』から『DARUMA』までも久々に訪れた郡山シティに届ける熱い気持ちがビシバシ伝わって来るハンパない演奏で、俺は興奮しまくっておりました!
 ところが、向井さんが「ダルマの次はタヌキ」と短く告げて『TANUKI』に入ってしばらくして、事件は起こりました。演奏の途中で、急に照明が暗くなりアンプやフロアスピーカーからの音が消えたんです。びっくりするメンバー。あわてるスタッフ。そして、電気系統の確認が行なわれた後、演奏が再開されます。この段階では、ちょっとした接触ミスぐらいだと思ったし、フロアもちょっとだけ待たされた分、逆に盛り上がってました。だから、いいテンションで『TANUKI』が終り、次の『MABOROSHI〜』もフロアの熱気はどんどん上昇していくのがわかりました。
 ところがところが、その途中で再び電気系統がダウン。しかも今度は、「一瞬電気が流れたかと思ったらすぐ落ちる」を繰り返し、なかなか復旧しません。どうやら漏電の可能性があるらしいんです。
 向井さんは、「落語でもやれたら場を繋げるんですがね…」などフロアを気遣いつつ接触などを調べたり、いろいろトライするも復旧せず。「10年以上やってて、一度照明が点かなくなって暗い中でライヴをしたことはありますが、音響系統がダメになったのは初めてですね」みたいなコメントをしつつ、さらにスタッフ共に調べるも復旧せず。何度も「ほんとすいません。申し訳ない」とフロアを気遣って謝る向井さんに、感動しつつも気の毒になっちゃいました。
 そのうち、スタッフが調査やリトライを続ける中、「じゃあ、ちょっと口でやってみましょうか」みたく言って、4人が丸く集まってマイクなしでそれぞれの楽器フレーズを口で言うという形式で『安眠棒』をやってくれたんです。その涙ぐましいサービス精神に対し、フロアも手拍子やコーラスレスポンスで精一杯応え、まさに一体となって盛り上がったんです。そして、曲が終わった後には、大きな拍手が今まで聞いたこともないぐらい長く長く長く長く続きました!
 この感動的な場面にも、神様は電気系統を戻しては下さらぬ御様子。仕方なくメンバーは一旦バックヤードに去って、向井さんの指示で一郎君だけが登場します。
 そして、一郎氏は点検などで時間が掛かっていることを謝った上で、自分がバイト体験などから得た〈魚マメ知識〉を話し出しました。「アマダイっていう魚、知ってますか?」みたいな話から「キンメダイも実は鯛じゃない」みたいな話、さらには「カラスミ」の話まで語ってくれました。俺は、そんな一生懸命に場を繋ごうとする誠実な姿に感動し、照明の落ちた中せめてフロアに彼の表情を伝えたいと、持っていたペンライトで顔を照らしながら〈イチロートーク〉を聞いていました。
 やがてメンバーが再登場。向井さんは、漏電らしく当分復旧のメドが立たないことを告げ、ハコのPAシステムを使わずに、メンバーのアンプの分だけ一般の電源から引いてやれる限り演奏すると知らせます。
 もちろんフロアからは大きな拍手。そして、エレクトリックサウンドとして成立する最小限の電力を最大限に活かして渾身の3曲を俺らにブチ込んでくれた後、これ以上は一般電源の限界ということで、ライヴは終了。
 演奏後、何度も「ほんと済みませんでした。また必ず来ます」を繰り返し去っていったメンバー。そして、出て来た観客には、最後の一人までお店のスタッフやプロモーターの方やマネージャーの森さんなどから謝りの言葉が絶えることはありませんでした。(なお、郡山では振替再公演をするそうで、この日のチケットで入れるそうです。)
 
 予想外の大きなトラブルに見舞われて予定の半分ぐらいしか演奏できなかったライヴは、初めてライヴを見に来た人や遠方から来た人にとって残念だったと思います。メンバーにとっても悔しかったろうと思います。でも俺は、トラブルに直面しても本当に誠実に対処してくれたメンバーに感動したし、〈口演奏〉や、〈イチロートーク〉や、PAシステムなしで演奏した最後の3曲など多くの貴重な体験が出来たので、感謝の気持ちでいっぱいでした。
 そして、この夜集まった郡山シティの皆さんも本当に素晴らしかったです!メンバーとフロアが一体となって作った『安眠棒』&その後鳴り止まなかった拍手は、一生忘れないと思います。メンバーの皆さん、スタッフの皆さん、郡山の皆さん、本当にお疲れ様でした!そして本当にありがとうございました!

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Last Updated: 2024/4/13 Sat.

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